肺炎から命を守ろう!防災用品に歯みがきセットを

伊勢原市の歯医者、大野歯科医院のブログページです。

9月は防災月間です。毎年のように災害が続いていますので、みなさんもご家庭で防災グッズを用意していることと思います。
食べ物、水、携帯バッテリーなどひととおり用意していると思いますが、忘れがちなのが歯みがきやお口のケア用品

災害発生時のオーラルケアは、虫歯だけでなく、命に関わる病気である「誤嚥性肺炎」の予防につながります。
今回は災害時の口腔ケアと誤嚥性肺炎の関係について、歯科スタッフの立場から命を守る方法をお伝えします。

目次

誤嚥性肺炎は、唾液や分泌液が原因で起こりうる病気です

肺炎とは、細菌や微生物により、肺が炎症を起こした状態のことです。
通常、人間の肺は無菌状態ですが、何らかの影響で肺に菌が入り、組織に付着すると肺炎になります。

誤嚥性肺炎とは、食物や液体が誤って気管や肺に入ることで起きる肺炎の一種です。
「誤嚥」というと食べ物のイメージが強いですが、実はそれだけが原因ではありません。私たちの唾液や鼻汁、胃液などが気管に入り、誤嚥性肺炎を起こすことがあります。

肺炎球菌は、お口の中に存在する常在菌です

肺炎を起こす原因となる菌の1つに、肺炎球菌があります。
肺炎球菌は乳幼児の鼻やのどには20-50%、成人では3-5%常在しています。
元気な時には発症しませんが、ストレスや運動不足で免疫が落ちると、肺炎球菌の数が増え、肺炎の発症率が高まります。

誤嚥性肺炎は、災害時に特に起きやすい病気です

災害直後の生活では、まずは命が助かること、次に寝る場所や食べ物を確保することが優先されますので、お口の衛生状態にまで気を配るのは難しいことと思います。避難所では寝たままの姿勢で過ごすことも多いですから、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。

   震災発生→水が足りない→寝て過ごしがち→誤嚥性肺炎多発

このように災害時は、様々な要因から誤嚥性肺炎にかかりやすくなります。
1995年の阪神・淡路大震災では、900人以上にのぼる震災関連死のうち、実に4分の1の方が肺炎で亡くなられたそうです。災害時の口腔ケアは、命を左右するということを意識しましょう。

水が足りなくても可能な口腔ケアを

水が少ないときにできる口腔ケアについて、4つのポイントを覚えておきましょう。

・歯ブラシが無い時にはハンカチやティッシュで口腔内をぬぐう
・唾液を出すマッサージをする
・少ない水を使って歯みがきをする
・液体歯みがきや洗口液を利用する

神戸常盤大学短期大学部の監修で啓発ポスターより)

特に、入れ歯の方は注意してください。お口の中がただれてしまうことがありますので、1日1度はケアをしましょう。

まとめ

災害時、お口のケアは虫歯予防だけでなく、肺炎球菌の感染予防にもなります
肺炎球菌はお口の中の常在菌です。お口のケアができない状況では、肺炎球菌は増殖し、肺炎リスクが高まります。
防災セットの中には口腔ケアセットを忘れずに用意しておきましょう。

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